Home » News

日米合同委員会議事録情報公開訴訟を提起しました

 2015年12月2日に、日米合同委員会議事録の情報公開訴訟を東京地裁に提起しました。原告は法人としての情報公開クリアリングハウスです。

 プレスリリース http://bit.ly/1NHfcO5

(1)訴訟の背景

 日米地位協定の下に設置されている日米合同委員会は、日米双方の合意がない限り議事録等を公表しないと取り決められているとされています。また、公表される議事録は公表用に作成されたものであるともされています。

 そのため、これまで情報公開請求に対して、公表が合意されていない議事録等が不開示とされているだけでなく、公表されている案件も議事録そのものは不開示、日米合同委員会に係る議事録や資料等をまとめたインデックス、開催実績に関する情報などもすべて不開示となっています。そして、これらの不開示決定に対して、これまでも様々な請求者が不服申立てを行っているが、情報公開・個人情報保護審査会は一貫して、不開示妥当と答申しています。

 情報公開クリアリングハウスで情報公開したのは、1960年の日米地位協定発効後の日米合同委員会の議事録の一部と、1952年の日米行政協定時代の日米合同委員会の議事録の一部で、いずれも、議事録等を日米双方の合意がない限り公表しないことを確認した部分です。1960年の該当する議事録は、過去に情報公開・個人情報保護審査会で不開示妥当と答申されています。1952年の該当する議事録は、審査会の答申で過去に言及されているものがありその存在が確認できますが、今回不存在となりました。

(2)情報公開請求の理由

 2015年3月に、米軍の北部演習場を通る県道70号線の共同使用に関する文書について、沖縄県が情報公開条例に基づく住民からの公開請求に対して公開の決定を行ったところ、国が公開決定を取り消す訴訟を沖縄県に対して提起しました。理由は、日米合同委員会の議事録等を含む文書で、米側との公表の合意がなく、外交・安全保障上の支障と国の事務事業上の支障から、沖縄県条例の定める非公開情報に該当するというもの。

 沖縄県のこの例に限らず、日米合同委員会で日米双方の合意がない限り議事録等を公表しないとの取り決めがあることによって、それを覆して公開することは日本の外交・安全保障上に支障を及ぼすという理由で、議事録などの情報が非公開と判断され、その判断が固定化されています。

 この淵源は、1960年の日米合同委員会での日米双方の合意がない限り非公表、さらには1952年の行政協定時代の日米合同委員会での同様の合意であることは明らかです。いずれも50年以上前の合意内容であり、その後日米双方で情報公開法が制定、運用され、情報公開に対する社会の認識も変わっている中、どのような合意内容であるのかを明らかにする必要があると考えました。そこで、この「日米双方の合意がなければ非公表」と合意している議事録の一部を特定して情報公開請求をしました。しかし、1960年議事録は全部不開示、1952年議事録は不存在となりました。

(3)提訴の理由

 日米合同委員会に関する情報は、公表とされているもの以外は非公開とすることで情報公開・個人情報保護審査会の判断が固定化されています。そこで、不服申し立てでは進展が見込めないと考え、不服申し立ても並行して行いつつ、これまで日米合同委員会の議事録関係での情報公開訴訟はないことから、訴訟を提起することにしました。

 全部不開示となった1960年議事録のうち、双方の合意がない限り公表しないという趣旨のわかる部分は、正確な文言は確認できないものの、どのような内容が書いてあるのかはすでに公の文書で明らかなものです。しかも日米双方が合意しないと公表しないという合意は、安全保障や外交上の政策そのものとは関係のないことです。このような情報が、外交・安全保障上の支障を理由に全部不開示となることは、明らかに広すぎる非公開範囲です。日米双方で公表に合意していないことを理由に、このような情報を不開示とするのは、明らかにおかしいと考えています。

 また、1952年の該当議事録は不存在とされていますが、過去の審査会答申でその存在が確認できるもので、ないこと自体が本来はあってはならないものです。外務省に口頭で確認したところでは、廃棄や歴史文書としての移管が行われているわけではないとの説明を受けていますが、公文書管理のあり方として疑問があります。

 以上のことから、本訴訟の提起に至りました。なお、この訴訟は5名の弁護団が担当しています。

Print Friendly, PDF & Email