特定秘密保護法施行に対する声明

2014年12月10日

特定秘密保護法施行に対する声明

特定非営利活動法人情報公開クリアリングハウス
理事長 三木 由希子

 本日、特定秘密保護法が施行されました。

 多くの反対と疑問の声が上がり続ける中での法の施行に対し、これからも秘密を抱え持つ政府の情報公開を進め、市民社会に対して閉じゆく政府の動きを注視し、開かれた政府を求める活動を推進することを、ここに表明します。

 政府には、特定秘密のみならず、内部ルールによって秘密指定をする仕組みが存在し、それらが相まって、秘密とそれを保護するための非公開を生み出します。特定秘密は中でも厳罰化された罰則の対象となり、適性評価を実施する法的根拠を与え、政府は秘密保護のための手段を手にします。換言すれば、秘密保護に関する政府の権限を可能な限り強化するものです。しかし、政府の責任は秘密保護を行うことよりもまず、説明責任の徹底する仕組み、制度を強化し、政府の信頼性そのものを高めることにあります。

 秘密を公開に転換する仕組みの欠落は、政府の政策決定の正当性を検証する機会を失わせ、より良い政府活動、政策決定に向けた学びの機会を失わせます。非公開や秘密をそのまま廃棄していく政府は、より良い政府、より良い政策決定を行う責任を放棄したに等しいものです。そして、歴史的な検証さえすればよいというものではなく、政策決定が行われてからあまり時間を経ずに検証を行い、より良い政府、政策決定を行うための教訓としていくことが必要です。

 秘密や非公開は放っておいても増えていきます。しかし、情報公開は放っておいては進みません。情報公開を推進するためには、情報公開をするという明確な「意思」が必要です。その「意思」は、具体的な政策、システムとして社会制度の中に埋め込むことによりつくりだすとともに、市民が情報公開を求めるという行動により生み出されるものだと確信しています。

 私たちは、特定秘密だけでなく、政府の持つ秘密や非公開情報を民主的なコントロールのもとに置き、公開に転換し、開かれた議論が行われるようになるため、今後も特定秘密保護法の運用のみならず、政府の持つ秘密、非公開情報の状況にも注視して行く所存です。

 ◆連絡先
  特定非営利活動法人情報公開クリアリングハウス
  〒160-0008 東京都新宿区三栄町16-4 芝本マンション403
  TEL.03-5269-1846 FAX.03-5269-0944 携帯 080-3714-7257
  E-Mail icj[a]clearing-house.org  ※[a]を@に変更してください

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